11/25/2022

学習を通じて



初級からスタートし、約2か月の学習期間を経た、あるクラスのこと。

習った文法を使い、「大切な人」についてクラスで話す、という授業。

まずは話す前に書いてみよう‥と見本と共に学生へ。

 

母、父、友人、夫‥

それぞれに宛て、書き始めるや、筆が止まりませんでした。

 

母が市場で働いていたので、学校の帰り、毎日会いに行きました。

父が毎日、私を学校へ迎えに来てくれました。

祖母は料理がとても上手です。お菓子やお金などをくれました。

兄は家族にとっても大切な人です。

 

授業の目的は習ったことを使っての練習。

「やさしくて~」や「医者で~」のような接続表現、そして、

「授受表現」をうまく使うこと。

 

この授業を通じ、ふ、と思ったのです。

 

母語話者同士でも大切な人への「感謝」は

なかなか伝えることがありません。

普段、心にありながら、改めて表現することのない気持ちを

この「日本語を学ぶ」という名目で表すことができた、と。

正しい表現かどうか、今日習った表現があるかないか、

そんなことはどうでもよくなりました。

 

ある学生のご家族へ書かれた内容を伝えたところ、

「私の人生で初めてそんなことを言われました。」と。

 

思う側も思われている側もこんな温かな気持ちになれるなんて…。

 

また一つ、学生から、そして、日本語を教える現場から、

得るものがありました。

 

 


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